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Recipe4  情熱的な赤い宝石・クランベリー

情熱的な赤い宝石のクランベリーについてお話しましょう。
クランベリーは、ヨーロッパ、北アメリカ両大陸の寒冷地に生育するツルコケモモ科の小果樹で、アメリカでは品種改良が行われて大規模に栽培されています。サクランボのような真紅の果実ですが、酸味が強く生食には適していないようです。一般的にはジュースや料理用ソース、菓子などに利用されています。日本でもクランベリージュースは普通に販売されています。

クランベリーが健康に良い事は広く知られていますが、食物繊維とビタミンの含有量が高く、研究の結果、北米産クランベリーは、「尿路感染症」の補助的療法としても効果があることが明らかになっています

■お話:管理栄養士 森田友美さん(プロフィール)

 

クランベリーの名前の由来はその花にあります。

イギリスからメイフラワー号で入植したピルグリム達は、ピルグリム達はこの新たに発見したフルーツの薄いピンク色の花が、鶴(crane)のくちばしに似ている事からcrane−berirryと名付けました。

 


クランベリーは沼や湿地に生える蔓に実る果実で、秋に収穫されます。「ドライハーベスティング」と
「ウェットハーベスティング」二通りの収穫方法ですが、たいていは、後者の方法です。

 

ドライハーベステイング
少量のクランベリーは、ドライハーベスティング法で収穫されます。芝刈り機にくしのようなベルトコンベアーの付いた収穫機を使います。摘まれたクランベリーは、ベルトを通って機械に取り付けられた袋に送り込まれます。袋から輸送容器に移されたクランベリーは集荷ステーションに運ばれて、色とバウンド力(やわらかく弾まないクランベリーは不合格)によって選別されます。ドライハーベスティングで収穫されたのものはそのまま生で売られています。

ウエットハーベステイング
畑に水を入れて思いきりかき回して、蔓から離れて水面に浮いたクランベリーをロープで集めて収穫する方法です。クランベリーの実の中には穴があいているので、水に浮かぶのです。
収穫日には、クランベリーが水面を真っ赤に彩ります。きれいな光景でしょうね。

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真っ赤なクランベリー。このきれいな赤色をつくっているのが「アントシアニン」。これは、抗酸化物質であるポリフェノールの一種で、活性酸素の発生を抑制します。

また、ビタミンCの含有量はなんとブルーベリーの2倍以上、リンゴの6倍以上ですから、夏の紫外線対策にも大活躍です。さらに、視力回復や心臓疾患の抑制に役立つと考えられています。

果汁粉末で比較すると、クランベリー中のアントシアニンはブルーベリーやラズベリーより多く、 ポリフェノール類は全体の量ではブルーベリーの2倍以上もあることがわかっています。

また、「アントシアニン」は目の機能を向上させる効果もあります。




女性に多い膀胱炎などの尿路感染症の補助的療法としても明らかにされています。1994年にHarvard大学の研究チームが、女性を対象にクランベリージュースを1日300ml摂取させる実験を行ったところ、感染率が58%に低下したのことです(*1)。
また、ウェーバー州立大学(1997年)の発表では、尿路感染症に感染したことのある女性を被験者として再発防止について研究を行ったところ、クランベリーの尿路感染再発防止力を説明することができたと発表しています(*2)。

クランベリーには赤ワインで有名なプロアントシアニジンが多量に含まれています。これは感染菌の凝集や尿路上皮に菌が付着することを予防するそうです。また、クランベリーに含まれる固有の化学物質キニン酸は、感染症の原因となる細菌を寄せ付けない効果を持っています。



クランベリーに含まれる成分が、胃・十二指腸疾患に大きく関与しているピロリ菌の胃内部への付着を防止することも報告されています。テルアビブ大学(イスラエル)研究所は、クランベリーに含まれる成分「濃縮タンニン」「プロアントシアジニン」が、胃内部の粘膜を「ヘリコバクターピロリ」から守ることを発表しました。



1998年アメリカウィスコンシン大学で発表された研究は、「クランベリー抽出液は心臓病を引き起こす酸化作用を抑制し、心臓血管病のリスクを増大させる血液中のLDL(悪玉コレステロール)の酸化を抑える」と報告しています(*3)



1996年イリノイ大学(米国)による研究では、クランベリーが潜在的にガンの発生抑止とその初期段階抑止の効果があり、これはクランベリーが含有しているある特定のフラボノイドにガンの抑止効果があるからだと理論づけられています。

(*1) Avorn, J. S., et al., Harverd Medical School, JAMA, 271(10),751-754,1994.
(*2) Walker, E. B., et al., Weber State University, J. Family Practice, 45(2),167-168, 1997.
(*3)Wilson, T., et al., University of Wisconsin-La Crosse, Life Science,62 (24), 381-386,1998

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